わたしのキャラメル王子様
「知ってるよ……あの子と一緒だったんだよね?」



胸が、ちくりと痛い。
ほんとはこんなこと、聞きたくないのに。



「あの子って、あー、咲田(さきだ)さんか」



咲田さんていうんだ、彼女。



「断ってないんだもんね、この前のこと」



「断るよ。でも今はまだちょっと無理なだけ」



「なにそれ、意味わかんない」



嫌みのひとつも言いたくなるよ。



「信じてよ。俺が好きなのは沙羅だけ」



「……よくあっさりそんなこと言えるよね」



「だってほんとなんだもん。俺は素直で沙羅がへそ曲がりなだけじゃん」



その通りかもしれない。ほんとは嬉しいもん。
私だって好きだよって言いたい。
でも素直になれないよ。



顔も知らないフィアンセとのことだって、咲田さんていう美少女のことだって、悠君がこれからどうするつもりなのか全然わからない。勘繰ったりもしたくない。
だって、傷つくのが怖い。



それなのに悠君はご機嫌な足取りで毛布を1枚持ってきて、複雑な気持ちを抱えたままの私はすっぽり。
それに包まれてしまった。

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