わたしのキャラメル王子様
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「早く付き合えばいいのに」
それから数日が過ぎたある日の昼休み。
京ちゃんはうんざりした様子でウィンナーにフォークを突き刺した。
「うーん、でもさぁ」
私はお弁当箱の隅のたらこパスタをエンドレスくるくる。
「何が不満なの?すごく大事にされてるじゃん。うらやましいよ」
「う、うらやましい?」
私の方がよっぽど悠君を大事にしてるつもりだった。最近はお弁当まで作ってあげてるし。結局なんでもかんでも流したり許したりしちゃってるし。
「佐野君が来なかったのって結局あの日だけだったじゃん」
「そういえば、そだね」
確かにあの翌日から悠君は以前にもまして足繁くわたしの元に通うようになっていた。
「一昨日は放課後に来たよね」
「うん、だったね」
「ほら、ちゃんと思い出して?」
京ちゃんがニヤリと笑った。
「えーっと、確か……」
あの日は部活の後片付けに手間取っていつもより少し帰りが遅れたんだった。
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「帰るよmy Boo~♪」
「女の子に向かってブーって……ひどくない?」
「先輩、別にデブ呼びされたわけじゃありませんから。もしかしてあの名曲を知らないんですか?」
「はぁ?」
部活明け、フェンスの向こうから声をかけてきた悠君に怒鳴っていたら、後輩たちになだめられてしまった。
悠君はフェンスを掴んで大笑いしてたな。
「いいなぁ、佐野先輩に毎日お迎えに来てもらえるなんて。私もあんな彼氏が欲しい」
顔を赤くした後輩が、胸元でラケットをきゅうっと抱きしめていた。
「きゃ、今目があった!」
「わ、手振ってくれたぁ」
「カッコいい!!」
「格好いい!!」
「かっこいー!!」
「ねぇ大袈裟だし、うちら付き合ってないし!」
みんな目がハートじゃん。
そろそろ見慣れないもんかな?
てか、誰も私の話なんか聞いてなかったような。