わたしのキャラメル王子様
「悠君まだかかるから先に帰ってて~」



いろいろメンドーになって、力なくそう言った。
だって実際やること山積みだったから。



そしたら、まわりから大ブーイング。
学校イチの人気者、佐野悠介のお迎えを断るなんてあり得ないんだって。



「ねぇ沙羅なにが残ってんの?手伝っちゃダメ?」



「ダメじゃないけど遅くなるよ」



「えー、一緒に帰ろーよ。なんか最近不審者が出るとかって聞いてさ、なんかやだ」



「はー?何それ!」



「なんでもいいけど一緒に帰りたい」



カラダだけはおっきくなっても悠君のこわがりは、やっぱり昔のまんまなんだなって少し呆れた。
私だったら不審者なんてラケットの柄でひと突きよ、ひと突き!



節分の鬼をこわがって泣いてたことをみんなにばらしちゃおっかなぁ、なんてちょっとイジワルしたい気分になってきたりして。



「ねぇ悠君。もしかしてこわいんだ?」



「うん」



あっさり肯定されてつまんなーい。って思ったんだよね。



「沙羅に何かあったらと思うとこわいよ、俺が守らなきゃ」



「………………え?」



「きやぁぁぁあぁぁぁ!!!」



ファンが沸騰するようなワードをさらっと言われたんだった。恥ずかしくて、とても一緒になんて帰れなくて隙を見て逃げたんだった!


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