わたしのキャラメル王子様
思いきって女子大生の京ちゃんのお姉さんに声をかけてみた。そしたら、最近お気に入りの夜カフェに連れてってあげるって言ってくれたから、それに付いていくことになった。



「夜カフェってなに?なんか響きが大人じゃない?」



「ねー、楽しみ!年上のお兄さんにナンパされたらどーしよ!」



お姉さんの雅(みやび)ちゃんの話によると、昼間は普通のカフェなのに、夜はガラリと雰囲気が変わって人気のあるお店らしい。そんなことを聞いて、行くのがすごく楽しみになってきた。



「昼と夜とでそんなに違うんだ?」



お昼に一度行ったことがあるらしい京ちゃんもビックリして雅ちゃんに聞き返してた。



「そうそう、行けばわかるよ。彼氏なしのうちらのグループなんか週2で通ってるくらいだもんね」



雅ちゃんがすごく楽しそうに話すから、俄然ワクワクしてきちゃった。



「実はそこのピアノ王子のなかの1人がめちゃめちゃタイプなんだ」



「げー!ピアノ弾く人のいるお店なの?」



びっくりだ。そんなお店行ったことがない。



雅ちゃんは眼鏡男子に目がないらしい。
しかもその人の黒髪がまたそそるんだって。



「ねぇ、そういう男子って音大の人なのかな?」



「わかんないけど絶対彼女いるよね~」



「いるいる。しかもみんな気軽に声かけられない感じのオーラがすごいんだよね」



「ドライアイが潤うだけかー」



「まさにあれが高嶺の花男君てやつなの!」



「いやいや、ひるまないでガツガツ行くべきでしょそこは!お姉ちゃん頑張んなよ!」



「そんな簡単にはいかないよー。ハードルめっちゃ高いんだからね?」



行きの電車のなかでのミーティングからもう楽しい。悠君のことなんか、今夜は忘れちゃうんだもんね。

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