わたしのキャラメル王子様
「ねぇ、京ちゃん。あの女の子ってさ……」



「女の子がどしたー?」



オーダーもまだなのに、待ちきれずに店内の写真をバンバン撮影してる京ちゃんは、もう向こうなど見ていない。



彼女は眼鏡王子を引き留めたいのか、彼の腕にすがっている。ここからでも彼の困惑が手に取れるようだった。



付き合ってるのかな、あの二人。
すごくお似合い。



それにしても眼鏡王子。
スタイルよすぎ。
小さい頭、長い手足、立ち姿も。
そこにいるだけで美しい。



でもおしりのポケットに親指を入れちゃうのは、悩んでるときの誰かさんの癖と一緒だ。



やだな、なんでそんなこと思い出しちゃうんだろう。
悠君のことなんて、考えるつもりはなかったのに。



王子は彼女をなだめることに成功したのかしないのか、お姫様の背中に手を添えて、通路の奥へいざなった。



そのとき、彼女の顔がみえて息を飲んだ。



「ねぇ京ちゃんあの子」



「んー?」



「あの子……悠君に告った咲田さんに似てるような気がするんだけど」



「はぁっ?」



京ちゃんの連写がピタリと止まった。

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