わたしのキャラメル王子様
「ねぇ君高校生じゃないの?ダメじゃん、こんな時間にこんなとこ出歩いちゃ」
「子供が1人でいていい時間じゃないよ?」
「おうちどこ?送ったげるから」
ぼんやりしていたら、口振りは柔らかいけれど、見るからにチャラくて胡散臭そうな3人組に絡まれてしまった。
誰とも目を合わせないようにしていたのに、夜の街じゃそれは通用しないんだ。
「……高校生じゃありません、人を待ってるんで」
怖くなって逃げようとしたのに、逃げ道を塞がれた。
「どーせナンパ待ちでしょ、彼氏と喧嘩したとか?」
「なっ、」
季節外れのパナマ帽男が、いやらしく口角をあげてそう言った。図星をつかれているようで、でも相手は彼氏でもなんでもない。
勝手なこと言わないでください!
っていつもならそう言えるのに、3人の知らない成人男子に囲まれることが、声も出なくなるほどに怖くて、声のひとつも出せなかった。