わたしのキャラメル王子様
「Sランクポケモンが出現するとこにお兄さんたちが連れてったげよっか」



「バカおまえ、そんなんに付いてくるヤツ今時いるか、ウケるわそれ!」



この人たち、これが通常営業なんだ。こうやって人を小馬鹿にして、手頃な女の子と羽目を外すことが日常なんだ。
夜の街って怖い。
素敵なものもいっぱいあったけど、やっぱり怖くて足がすくんだ。



「なぁ……全然笑えねーな、その冗談」



気付くと3人が4人になっていた。



「あぁ?なんだテメー、横取りすんな」



「横取りも何も、俺のカノジョなんだけど」



3人の意識が私ではなく、背の高い男の人へと向いた。
そこには、まさかの黒髪眼鏡王子がいた。



「つーか、その子にそれ以上近寄るとブッスリいっちゃうよ?」



王子はいつの間にか3人のなかのリーダーっぽい人の喉元に、外した眼鏡の柄を食い込ませていた。



「ほら、ママが呼んでんじゃん。早くバナナの収穫の手伝いに行けよ。頸動脈から血が噴き出す前にさ」



王子の鋭く冷たい目がぎりぎりと音が聞こえそうなほどの気迫でパナマ帽の男を睨んだ。



唇の端に挑発するような微笑みをたたえたまま、さらに喉に柄を食い込ませる。



「フレーム、刺さると痛いよ?」



「マジかよ?頭イカれてね?」



3人は王子の気迫に圧されて、よろよろと逃げだした。
今のって、いったいなんだったんだろう。

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