がらくたのハート
『やあ、リリィにスピード。こんにちわ。1×1は?』


「わん!」

『そうですか』

博士は、ここに来るといつもこれをやります。
博士に教えて貰ったら、ダジャレという物らしいんですが、奥が深くてわかりませんでした。

おそらく、挨拶みたいなものでしょう。


『カノンさん。居ませんか?』

ワタシは、家の扉を叩きました。

カノンさんのお父さんが、建てたログハウスです。


「はーい」

カノンさんが出てきました。

『こんにちわ、カノンさん』

「こんにちわ、ボロ。どうぞ」

この間とは逆ですね。
今度は、ワタシがお客さんです。


「座って」

『はい』

ワタシは、いつもの様に椅子を引きます。
レディーファーストですからね。


「……ふふ。今日はボロがお客さんだからいいのよ」


『おや、そうなのですか……』

ワタシは椅子を戻し、戻した椅子をカノンさんが引いて、座ります。

「あはは。何だか変ね」

『何がです?』

「ああいう時は、『折角ですからどうぞ』って言うものよ。素直に戻すんだもん」

よく分かりませんが、カノンさんは笑ってます。
幸せを感じているんでしょうか。

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