がらくたのハート
家に帰ってから、ワタシは博士に言いました。

『博士、ラズに棒で叩かれて背中がへこみました』

「何だと! あの小僧、またボロを虐めたのか」


博士は、怒ると怖いです。と、ワタシのデータは言ってます。

……恐怖というのも分かりませんね。人間の心は複雑です。


「すぐ診てみよう。回路が壊れていたら大変だ。さあ、台にうつ伏せになって」


『はい』


「ついでにデータをコピーさせてもらうよ」


博士は、定期的にワタシのデータをコピーします。

何に使うかは、わかりませんが。

ワタシのデータが、博士の研究に役立つのであれば、いいです。

これも、お手伝いですかね。


「ふむ……回路は壊れていないようだ。保存コードも無事だ」


『博士が造ったんですよ? そう易々と、壊れませんよ』


「はははは! それもそうだな。ありがとうよ」


ありがとう。今のはお礼ですね。
役に立った時に、よく言われる言葉です。


しかも、博士は笑いました。
幸せを感じてくれたのですね。

幸せは、とても良いものだ。と、データにあります。

人間にとっては、無くてはならないものらしいです。

では、ロボットの幸せは?

壊れたら直ぐに直してもらえる。
これは、ロボットの幸せになりますかね。

修理が終わったら、直ぐに保存します。

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