シンデレラは脅迫されて靴を履く
カタカタ…カサ…
ん…キーボードの音…と書類の音…
「ん…雅爾さん…?」
キシ…
ソファーから起き上がる。
「深桜…?目が覚めたのか?」
デスクから立ち上がる音がする。
「雅爾さん…」
「深桜、つらくないか?」
心配そうに顔を覗きこむ。
「ん、大丈夫です…」
着替えないと…
「ああ、着替えないとな。もうすぐくると思うが」
「来る?」
コンコンコン
「来たな。…深桜、ブランケットかぶっておけ」
「え、あ、はい…」
私はブランケットをかけ直す。
入ってきたのは室長だった。
「ご用意致しました。…こういったことは今後気を付けていただきたいと社長と、社長夫人からのご伝言を承っております。今後はお控えください」
「うるさい。あ、中には入るなよ?」
「九条君は私の部下です。無事を確認する義務はあるかと」
「いや、ないだろ」
なんだか押し問答を始めている。
室長…義務はあります!大丈夫です!
義務はあります!ありますが…今のこの状態は…
コツコツ
「あ!こら!」
え?
室長?こっちに来る?