シンデレラは脅迫されて靴を履く
灰かぶり姫、王子に捕まる。
「ああ、もうこんな時間か…」
目の前の悪魔のような男は腕時計に視線を移し、ゆっくりとこちらに視線を這わせる。
「さあ、深桜…城に帰る時間だ」
相変わらず黒い笑みを浮かべる雅爾さん。
「…雅爾さん。どうして…」
茫然と座り込む私にゆっくりと近づいてくる。
膝をつき、頬に大きな手が添えられる。
「子ども…できてるといいな」
「っ!!」
パーーン!!
気がついたら手をあげていた。
「…っ……着替えます。出ていってもらえますか?」
必死に感情を押し殺し呟く。
声は震えていたかもしれない。
「着替えたら出てきなさい。君の隠れ家まで送っていこう。…もっとも、城も同じ場所だがな」
パタン
ドアがしまると同時に流れ落ちる涙。
「こんなこと…こんなことってないわ…」
こんな男のために涙を流すなんて…