シンデレラは脅迫されて靴を履く
「…相変わらず勝手な男ね」
「あの、九条先輩。大丈夫ですか?」
「大丈夫よ、浅野くん」
気遣ってくれた後輩に声をかけ、デスクにつく。
『おはようございます!』
同僚たちの挨拶を聞いて振り返る。
「ああ、おはよう。皆さんミーティングを始めましょうか」
入ってきたのは秘書課秘書室長の佐伯 誠司さん。
東宮グループ本社代表取締役社長 専属秘書。
室内の空気が引き締まる。
「九条君、朝からすまなかったね。社長と一緒に止めたんだが、自分で行くと聞かなくてね…」
「いいえ…あのっ」
「詳細はミーティングの後で」
そう言って朝のミーティングが始まる。