シンデレラは脅迫されて靴を履く
「…やっと来たか」
「朝の秘書室は忙しいと申し上げたはずです」
副社長室に来た私は雅爾さんと対峙していた。
「わざわざ、副社長自ら辞令を持ってくるなんて何をお考えですか?室長と社長に止められたようですのに」
「秘書を取らないで有名だった俺が秘書を置くんだ。それくらいのことはしないと社内に話題が広まらないだろう」
「秘書は秘密主義です。社内に広まることはないかと」
「それでも俺が秘書をつけたというのは知られることになる。不服か?」
クスクス笑いながら雅爾さんは言葉を紡ぐ。
「不服というか…不本意ではあります」
「わかっているとは思うが、もうお前は俺のものだ」
握りしめた手に爪がギリギリと刺さる。
悔しい。
私の穏やかな生活を…
「私はあなたの秘書です。やるからには徹底的に務めさせていただきますのでご安心ください」
「期待している」
ニヤリ
ぞわっ!!!
ニヤリと黒い笑みを浮かべた雅爾さんに背筋が凍る。
絶対に何か企んでる顔だ…