16の、ハネ。




物心がついたときには、私は既に右手にラケットを握り、左手にはシャトルを握っていた。



父はバドミントンの元実業団選手。
母はピアノ教室の先生。



兄弟は誰もいなくて、両親は私のことを付きっきりで見守っていた。


その一貫として、バドミントンをやらさせた。父はそう言っていた。









「ねえ、パパ。あたし、疲れちゃったから休んでもいい?」


あたしはパパとの練習が嫌い。
お友達は誰も体育館の中にはいないし、パパと二人きりだから、パパはずっとあたしのことを見てる。

それに、1人だけでずっと練習しているとすごく疲れる。


「すぐに甘えない。まだやるんだ」

「でも、もう100球ノック5セットもやったよぉー」

「大丈夫、音羽ならまだ出来るから。な?」


やっぱり、あたしは、パパとの練習が嫌いだ。



だけど、それでも頑張ってこれたのは、「音羽なら出来る」ってパパが褒めてくれるから。

あたしのことを、認めてもらってる気がするんだ。



「じゃあ、あたし、頑張るよ!」


辛くても、苦しくても、あたしはパパの言葉があれば無敵だった。






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