16の、ハネ。
「じゃあ……えーと、俺には2つ年上の兄ちゃんがいるんだけど、兄ちゃんは小学校に入学してすぐに地元のジュニアチームでバドを始めたんだ」
陽人のお兄さん。
どんな人なんだろう?
私は陽人の兄の姿を想像しながら、相槌を打つ。
「俺はまだその時は歩いたりするだけで精一杯だったから、兄ちゃんと一緒に練習することが出来なかった」
いつも兄ちゃんにくっついてたから練習の時は半泣き状態だったんだとさ。
そう言った陽人は、懐かしそうに目を細めた。
「それで、俺が小二のときだったかな。兄ちゃんの試合を見にいったんだ」
大通りの信号に「駅東口」という看板が掛かっているのが見えた。話はまだ始まったばかり。
「今までも何度も試合は見にいってたけど、その時のは迫力が全く違った……全国大会だったんだ」
私の家は駅と線路を越えた、少し先にある。
話は始まったばかり。だけど、もう少しで、互いの分岐点に着いてしまう。