16の、ハネ。
「兄ちゃんは勝ち上がって、決勝トーナメントまで進んだんだ。俺は応援をしまくった」
陽人もそのことに気づいたのか、歩調を緩めた。話はそろそろ中盤。
「けど、準々決勝が始まる直前に、俺はある人のプレーに目が離せなかった」
陽人の言葉には、熱がこもっていた。
話は……鮮やかに彼の脳裏をよぎる。
「単に強かったってのもあるけど、なんていうんだろうな、表には出さないけど、心の底からバドのこと好きなんだなって伝わったんだ」
ああ、そっか。
君は、本当に。
「それで、俺もやりたいなって。片足がなくたって、試合で勝てたらカッコイイだろ?」
そう言った君の笑顔が、本当にバドミントンが好きで夢中なんだと物語っていた。