16の、ハネ。
「……とまあ、簡潔にまとめるとこんな感じだけどいい?」
陽人の笑顔に少し見とれていた私は慌てて目をそらし、「う、うん、いい話だね!」と答えた。
「いい話か? まあ、もしこの話が良かったって思うなら、俺がバド始めたきっかけになったお方に感謝してこいよ」
陽人が意味ありげに笑う。
そこでふと、私は疑問を持った。
「え、してこいって……陽人はその人の存在を知ってるの?」
すると陽人は「は?」と語尾を強めた。
「ったりめーだろ。気になった人がいたら、気になって仕方ないだろ普通」
「ふふ、なんか片思いみたーい」
と私が茶化すと、陽人は「そうだけど?」と真面目な顔で返してきた。
え、ちょっと待て。
「あ。えっと。あのさ、その人って女性なの?」
だって、陽人って女に興味とかなさそうだし。
しかし。
「悪いかよ」
と言った陽人の顔は、ほんの少し赤くなっていた。