16の、ハネ。


「えええええええっ!!」


こんなアホ面してる男が恋!?
しかも、10年近くも前から片思いのままって……。


いや、そもそもさ。


「一回試合を見ただけで、好きになれるものなのっ!?」



私が問うと、陽人は「それだけ印象強いプレーだったんだよ」と顔を背けて言った。



「んふふっ……!」

思わず笑ってしまう。


「笑うなよ」


「いや、だってさ」

自分のやりたいこと優先!! レンアイ? そんなの後回し!! みたいな人が。

「陽人にも意外とかわいいとこあるんだなって」


そう言ってから、自分の失言に気付いた。


男に向かって「可愛い」。
そんな言葉を面と向かって言っていいのは、その人の彼女だけじゃないのか。

ここは、知らんぷりをするか、うまく流しておくか。引きつった顔のまま、私は考えを巡らせる。

しかし。

「うるせぇ!! 男にはカッコいいと言え!」

陽人は、たしかにレンアイに疎かった。笑いながら反論されただけで済む。



陽人。そんなんじゃ、思い人と上手く付き合えないのでは……?





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