16の、ハネ。
ここから、陽人はチャリ20分の道のりを徒歩で帰る。本人は軽々と言っていたが、意外と距離があるのではないだろうか。まあ、あんなに運動できるし、そもそも男子だし大丈夫だとは思う。
寒い空気の中、すう、と一つ呼吸を整えてみる。
思えば、雪を投げつけられたことがきっかけで、今日にまで至った。
なんだか漫画みたいな展開だけど、現実なんだよなぁ、これがまた。人生何があるかお楽しみ。どんでん返しの繰り返し。冒険? 平和主義の私とは縁の遠い言葉。そして、今回の出来事は、まさに冒険のような勢いで。
でも、楽しかった。
それに、パラバドミントンという競技にも出会えた。
もちろん、陽人にも出会えた。
「新しい」にたくさん出会った。
そこまで考えて、私はつい一人で苦笑する。
今日の放課後まで、私は陽人のこと最低なクソ野郎としか思ってなかったのに。しかも逆恨みにビビっていて。でも、もう関わることなんてきっとないと割り切ってもいて。
出会いというのは面白い。
また新たな発見があるかもしれない。
夜の風は相変わらず冷たかったけど、私の胸はほんのり温まっていた。