16の、ハネ。
「お、おはよ……」
私はいまだに陽人のテンションに着いていけず、語尾が萎んでしまっている挨拶を交わす。
初めて陽人と話した日から、今日まで二週間が過ぎた。陽人の通うサークルは毎週金曜日に練習があり、私はその度に総体に向かっては、観客席から彼らの様子を眺めていた。と言っても、パラバドミントンのルールもよくわかっていないのだが。ていうか、そもそもまだ合計三回しか顔だしてないし。
そんなこんなでサークルで陽人に会うことはあったが、通学中に会うのは今回が初めてだ。
「にしても、ギリギリで入ってきたなー。全く、こういう奴のせいでダイヤが乱れるんだっつーの」
ごもっともな意見を言われ、私は「すみません……」と頭を下げるしかない。
何回か陽人と会話を交わして分かったことは、彼には遠慮というものがないということ。
シビアな言葉もいけしゃあしゃあと言う。
でもそのかわり、自分が思ったことは素直に言ってくれるので、褒められたときはお世辞じゃないからこっちも嬉しくなったりする。
ほんっとに、変わった奴。
だってさ、イマドキそんな素直な奴いなくない? 多少は人によく思われようと言動には気をつけたりするでしょ。……それとも、男子って全般的にそうなの?
もしそうだとしたら、来世は男子希望だ。
女子独特の雰囲気が私はどうしても好きになれない。
いちいち相手の顔色伺いながら言葉を慎重に選んで、思ってもいない褒め言葉を重ねて、時々ウケ狙いの話もして、おもしろくもない話に耳を傾けて、空気を読んで……。
面倒なやり取り。でも、一人になるのは寂しいから、結局女子の中の女子と同化するのがオチだ。