16の、ハネ。
「次は〇〇、〇〇……△△線はお乗り変えです」
快速急行の列車が、次の駅のアナウンスをする。ここで、私たちは乗り換えをして、横浜にある高校へと向かう。
つまりは、ウチの高校の生徒が一斉に横浜方面に向かうわけで……。
(陽人と二人で登校してるところを、知り合いに見られでもしたら、変な勘違いされるじゃんか!)
別に陽人は悪い奴ではないのだが、それとこれとは訳が違う。
電車はゆっくりと減速して、ホームに流れるようにして止まった。
なんとか口実を探して陽人と別れようと思って辺りを見渡すと、隣の車両からクラスメイトの佐藤ちゃんが出るのが見えた。
よし、これだ! ナイスタイミングだぜ、佐藤ちゃん。
「陽人! あのさ、ここから友達と一緒に行く約束してるから先に行ってていいよ」
私がとっさに嘘をつくと、純粋な陽人は疑いもせず「おう、じゃーなー」と言ってスタスタと歩いて行った。
なんだか罪悪感に包まれるけど仕方ない。
誰かに、根拠のない噂を流されたり、冷やかされるのだけはゴメンだ。