16の、ハネ。
とりあえず乗り換えの電車に遅れてはいけないので、話を切り上げて、私たちは先に電車へと急いだ。
通勤ラッシュでぎゅうぎゅうづめになりながら車内に入る。半ば圧縮されて、息が苦しい。こんな状況で話をするのは不可能なので、「続きは降りてから」と小さく告げた。
*
「それで、なんで陽人のこと知ってたの?」
無事に電車から降りて、改札を出た私は単刀直入に聞いた。
「まず健常者じゃないのに、部活に参加しているっていう点。バド部ファンの子たちなら全員知ってる。ファンじゃなくても、割と知られてる」
佐藤ちゃんは、まるでカンペでも見ているかのように、スラスラとテンポよく質問に答える。
「ていうか、服の上から見ても義足してるのってけっこう目立つから、この学校の生徒はなんとなくでも存在は知ってるでしょ」
そう言われて私はギクリ、とした。
「た、たしかに、そうだね!」
明るく取り繕ってはみたが、彼の生足を見るまで義足の事に全く気がつかなかった私は、思わず言葉に詰まってしまう。
私って、本当に周りに興味を持ってないんだなぁ。
なーんて私が他人事のように考えている間も、佐藤ちゃんは話を続ける。