16の、ハネ。


とりあえず乗り換えの電車に遅れてはいけないので、話を切り上げて、私たちは先に電車へと急いだ。

通勤ラッシュでぎゅうぎゅうづめになりながら車内に入る。半ば圧縮されて、息が苦しい。こんな状況で話をするのは不可能なので、「続きは降りてから」と小さく告げた。





「それで、なんで陽人のこと知ってたの?」

無事に電車から降りて、改札を出た私は単刀直入に聞いた。

「まず健常者じゃないのに、部活に参加しているっていう点。バド部ファンの子たちなら全員知ってる。ファンじゃなくても、割と知られてる」

佐藤ちゃんは、まるでカンペでも見ているかのように、スラスラとテンポよく質問に答える。

「ていうか、服の上から見ても義足してるのってけっこう目立つから、この学校の生徒はなんとなくでも存在は知ってるでしょ」


そう言われて私はギクリ、とした。


「た、たしかに、そうだね!」


明るく取り繕ってはみたが、彼の生足を見るまで義足の事に全く気がつかなかった私は、思わず言葉に詰まってしまう。



私って、本当に周りに興味を持ってないんだなぁ。


なーんて私が他人事のように考えている間も、佐藤ちゃんは話を続ける。




< 45 / 101 >

この作品をシェア

pagetop