16の、ハネ。



試合は、予定通りに始まった。

陽人は第二シードのため、出番はまだまだ先らしい。
そのかわり、ちびっこたちの試合が一気に入る。

「5コートと9コートで試合入るよー」

「アップちゃんとした?」

「相手は無名の子だけど、油断しちゃダメだよ」

「水筒持った?」

「ケガすんなよー!」

「ファイトー!」


親御さんたちが一斉に声を掛け合うので、私が声を掛けるタイミングがなかった。

が、ここでめげたりはしない。
試合中の応援を頑張るのだ。

と、自分に気合い入れしていると、美香ちゃんがツンツンと私のコートを引っ張った。

「音羽ちゃん、みぃと一緒に応援いこ!」

その可愛らしい笑顔に、私もつられて笑顔になった。

「もちろん!」

私は美香ちゃんに手を引っ張られながら駆けて行った。



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