16の、ハネ。
その瞬間、私の中で何かがプツリと切れた。
「ごめっ……」
必死で涙を堪えて……でも、嗚咽は漏れてしまう。
「大丈夫だから、ゆっくり息しろ」
陽人が私の背中を優しくさすってくれる。
その手の温かさに安心して、もっと涙が溢れそうになったが、私は陽人に言われた通りに、なんとかゆっくり息を吐いた。
「音羽ちゃん、どしたの?」
心配した美香ちゃんも、陽人と同じように私の背中を撫でてくれる。
「なんでもないよ」
なんとか取り繕って笑おうとしたが、うまくいかなくて「ほんとに?」と聞き返されてしまう。
どうしようかと迷っていると、陽人が助け船を出してくれた。
「怪獣音羽なら大丈夫だ! だから、今はアキトのこと応援してあげよーぜ! な!」
怪獣……に少し引っかかったが、今回は大目に見る。
すると、美香ちゃんも納得したのか、とびきりの笑顔で「うん!」と答えた。