16の、ハネ。

私は金切り声を上げていた。

相手は一瞬怯んだが、やがてニヤリと嫌な笑みを返した。

「なるほど、ふーん。そーなンだ」

プライバシー踏み込んじゃって、すンませんしたー。そう言って、その人は去っていった。

しかし、その入れ違いに、多くのギャラリーが集まってきた。




「今、叫んでたのって……」

「氷川音羽!?」

「バドミントン界の天才少女じゃん!」

「あれ、行方不明なってたんじゃないの?」

「確か、お父さんがどうとか……?」

「なんで、パラ競技の方いるの? もしかして、怪我したのかな?」





ざわめきは次から次へと、聞こえてくる。そして、周囲に伝染する。


金縛りにあったかのように、体はつめたくなり、足は動かなくなった。



あ、あ、あ。



どうしよう、だれか。
助けて……!







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