16の、ハネ。
陽人の手に導かれて、私は会場の外に出ていた。
空は青く澄んでいて、私のぐちゃぐちゃな心とは正反対だ。
「ありがと」
私は静かな声で、でもはっきりと、感謝を述べた。
「ん」
そこで、詳しく追求したりしない陽人の優しさが、また嬉しくなる。
でも、甘えてちゃいけない。
多分、まだ会場内では私の噂はされているだろうし、いつまでも陽人をここにいさせるわけにはいかない。
「陽人は、私のこと……私の過去のこと、知ってたの?」
単刀直入に聞いた。
陽人の真っ直ぐな心には、ごまかしは通用しないから。
しばらく沈黙が続いた。
その沈黙が、長かったのか、短かったのか、私にはわからなかった。
「…………知ってた」