16の、ハネ。
*
翌日。
私は罪悪感に苛まれながらも、いつもと同じように制服に着替えて学校へと向かった。
途中で陽人に会ったら、どんな顔をすればいいのだろう。
と、何度も不安に思ったが、不幸中の幸いというか、通学途中に陽人に会うことはなかった。
「天久ちゃん、おはよ」
教室に入ると、佐藤ちゃんが私に手を振ってきた。
「おは、よ」
ごめん、佐藤ちゃん。
あなたは何も悪くないけれど、私は今、挨拶を元気に出来る自信がない。
そんな私の態度を見て、佐藤ちゃんは「どした?」と聞いてきた。
「え、まあ、その……」
「昨日の大会で、なんかあったんだ?」
……う、さすが鋭い。
「うん、そんな感じ……」
私が力なく笑うと、佐藤ちゃんは「よしよーし」と言いながら頭を撫でてきた。
「ちょっと、馬鹿にしてるでしょ!?」
「するわけないじゃん。ただ、相当辛そうなかんじだったからさ」
嘘!?
私、そんなに顔に出てた?
「別に、無理に事情は聞かないけどさ。もし、王子様と何かあったなら、ちゃんと和解した方がいいと思うよ」
「なっ、そんなわけないし……!」
慌てて反抗したが、佐藤ちゃんはゆっくりと首を振る。
「……その態度、肯定してるのと同じようなもんだよ」
あー、人付き合いが広くて経験値の高い子には、そんなことまでバレてしまう。
これ以上、ごまかしたところで粗が目立つだけなので、私は素直に首を縦に振った。
「うん」