16の、ハネ。
そんなこんなで、ボーッと歩いていたら……。
「やっと来た」
背後から、1番聞きたくなかった声。……いや、聞きたかった声か?
どちらにしろ、私は油断していた。
「ぶ、部活は?」
なんとか声を出したものの、陽人の目を見ることはできなかった。
「テスト前でオフだってさ」
と陽人は拍子抜けしてしまうような軽さで答えた。
自分がつい数時間前まで望んでいたシチュエーション。
だけど、実際に起きてしまうとどうすればいいかわからなくなってしまう。
私が一人でギクシャクしていると、陽人はいつものように強引に私の腕を引っ張った。
「こっち来い」
「は? ちょっと、どこ行くわけ!?」
「神奈川県唯一の村」
そして、と陽人は一息置いて……。
「俺の思い出の場所」