16の、ハネ。
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坂を登りきった先には小さな公園があった。
公園といっても、申し訳ない程度にブランコとベンチが置いてあるだけだ。
「ここが、陽人の思い出の場所?」
私が聞くと、陽人は自転車のスタンドを立てながら「おう」と答えた。
「昔から、ここで素振りしたり筋トレしたりしてた」
「……偉いね」
と私が素直に褒めると、陽人は顔を少し赤くした。
「いや、そういうわけでもないんだけど」
わ、照れてるのかコイツ。相変わらずわかりやすい。
その様子が可愛かったので、私は少しからかってみた。
「陽人坊や、照れてまちゅね〜」
「なっ、て、照れてなんかねーし! ……そ、そうだ! このブランコ乗ろうぜ」
うまく話をそらされた。
が、今日の私は素直な良い子なので、言われた通りにした。
「ブランコなんて、小学校以来だなぁ」
「そう? 俺は結構乗ってるよ」
陽人らしい回答に思わず笑ってしまった。
「ふふ」
そこで私は何気なく前を見上げた。