小悪魔カレシの甘い罰
「先輩に聞いたら、だいたい雰囲気で決まるとか言ってたけどさ」
彼はそこまでいって盛大に溜息を吐いた。
「最後まであぶれたらどうする? それって初っ端からみじめじゃね?」
「確かに…そうだね」
美桜はオフィス内を見回す。
皆各々に忙しそうだが、積極的に声を掛けに行くべきなのだろうか。
「アピールして選んでもらうのが妥当だな」
違う同期が通りがかりに言った。
「もし、組みたい先輩がいたら、だけど」
「なぁ、これってまるで、合コンか見合いパーティーみたいだよな」
「合コンて…」
美桜が苦笑を浮かべた。
「意中の相手に選ばれるかなぁっていう、ドキドキ感がな」
「なんで女子目線で待ってんだよ、お前キモいから」
たとえ話に興を添える同期たちは、どっと沸いて盛り上がる。
「それ言ったら、司さんとかめっちゃ競争率高そうだな」
「とりあえずプログラム系は、みんなあの人に憧れてるもんなー」
司の名前が出てどきっとした。
とりあえず理系男子たちの間では、司はカリスマ扱いらしい。
社長の伊崎の方が、メディアで取り上げられて目立つぶん、人気があると思っていただけに意外だった。