小悪魔カレシの甘い罰
「司…さんて、そんなにすごい人なの?」
司の、あのけだるい感じからは、それほど高い技術力を持っているようには見えなかった。
すると、同期たちはぴたりと笑いを止めて、驚愕の眼差しで美桜を見つめた。
「え…もしかして、司さんのこと全然知らない人?」
「やっぱ女子は、伊崎社長目当てで入社して来てんだろ」
「そういうわけじゃ…」
と答えつつ、やはり世間的にも、有名なのは伊崎の方というのは否めない。
「確かに伊崎社長の経営手腕とかすごいけどさ、やっぱりこの会社がここまでデカくなったのって、ブレーンである司さんがいてこそだと思う」
その言葉に一同揃って頷いた。
「司さんて誰と組むんだろうなー」
「とりあえず、相当優秀な奴じゃないとだよな」
「俺、立候補したい…けど、断られそう…」
想いを寄せる先輩にアタックして、ふられたらどうすればいいんだと頭を抱えている。
「だからお前、キモいから」
その様子は好きな男子に告白できないうぶな女子高生のようで、美桜は思わず吹き出した。