小悪魔カレシの甘い罰
GOSSIP
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オフィス内のカフェの片隅で、同期が数名盛り上がっている。
「なんだろうね」
美桜と同期で入社してきた数少ない女性の1人、市岡志保がベーグルサンドを頬張りながら言った。
向かいに座っていた美桜もつられて賑わう群衆に目を向ける。
研修4日目を迎えた日の、ランチタイムのことだった。
カフェでは数組のグループが昼食を取っていた。
その中で盛り上がる同期から声が聞こえた。
「お前、吉岡さんとチーム組むんだって? やったじゃん」
「ああ、自分から直談判に行って良かったよ」
どうやら研修期間を共に過ごす相手が決まったらしい。
「めでたくカップル成立…か」
志保はそばにあったお茶を飲みながら、しみじみと言った。
美桜とデスクが近いこともあり、志保とは初日からすぐに意気投合した。
さばさばした性格の志保は、男性が多い職場でも気後れすることなくミーティングでは意見を出したりしている。
そんな彼女の存在は美桜には心強かった。
彼女は美術系専門学校卒で、CGクリエーションの分野に興味があると言っていた。
学生時代は、アニメ動画や地方CM制作アルバイトを経験してきたのでそれを生かしたいらしい。
「カップル、って」
美桜はおもわず苦笑した。