小悪魔カレシの甘い罰
奏でる指先
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無機質なキータッチの後が、途切れなく部屋に響く。
司の指先の動きに、誰もがくぎ付けになっていた。
覗き込むスクリーンには英数字か記号の羅列。
一見、何の意味も持たない並びに見えるが、新人プログラマーたちはそれを食い入るように見つめていた。
「すげ……どうなってんだ」
タブレット端末にメモを取っていた同期の手は、驚きで完全に止まっていた。
研修五日目。
それぞれの研修課題を提出した美桜たちは、実際に制作ミーティングや現場を見学することになった。
午前中は複数の会議に参加させてもらい、午後になって司のプログラミングを見学することになった。
「午後なら勝手に入って来ていいよ」
司は別段嫌がることもなくそれを許可した。