小悪魔カレシの甘い罰


 振り向くと、腕を組んだ司がキャンディーを手に美桜を指している。


 司の真っ直ぐな眼差しは、美桜だけでなくその場にいた仲間たちの空気をぴしりと引き締めた。


「昨日…司さんのコードをコピーして自習して…」

「あー俺、昨日これと似たようなことやってたな」

「はい、わからないものは知りたいので」

「──とか言ってたね、昨日」

 はいはい、と司は頷いた。


「ほんとに追求型なんだ」

 どこか驚き呆れたように司はつぶやいた。


 しかし同期は、美桜の熱心な勉強ぶりにざわついている。


「長浜、あれを理解したの?」

「いえ…完璧ではないですけど…8割くらいは」

 まじか、と男性たちは目を丸くする。


 そんな中で司だけは、楽し気な表情になった。


「あんた、変態なんじゃないの、あんな複雑怪奇なもの」
 
 そんなふうに言って美桜をからかう。


「…司さんに言われたくないです」


 その複雑なものをいとも簡単に作り出したのはあなたでしょう、と小声でそう抵抗した時。



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