小悪魔カレシの甘い罰
「あとは操作性高めて、細かい情報をインプット…」
ぶつぶつと独り言を言う司は、集中力の塊のようだった。
突然1人の世界に入り込んでしまったまま、好き勝手にその世界を泳いでいる。
けれど瞳はイキイキとしていて楽し気だった。
その気持ちがわかって、美桜もなぜだか心が弾む。
同じ感覚に触れられることが嬉しかった。
ふと手を止めた司が、ちらりと美桜を見やる。
「どうしました?」
「俺たち、結構いいコンビかもな」
「え…」
思いがけない言葉に驚いていると、司はすぐにまたキーボードに手を置き、せわしなく指を動かす。
いいコンビ、なんて言われると思わなかった。
最初は自分のことを『鈍い』とまで言っていたのに。
アイデアはそれなりに気に入ってくれたようだ。
美桜はほっと胸をなでおろし、タブレットを開いて自分なりのイメージを描いていく。
それを横目で見た司が、無言のままその画をパソコンに取り入れる。
気付けばお互い別の作業に没頭していたが、妙に息の合った共同作業となっていた。