小悪魔カレシの甘い罰


 ■




「考えてきた?」


 司の書斎と同じように、薄く暗い彼のオフィスに入ると、いきなりそう切り出された。


 司はパソコンの画面を見つめたままで、美桜に視線を寄越さない。

 口元にはやはり棒付きの飴。

 どこかうつろな目は、まだエンジンが掛かりきらない様子だった。


 午前中だからか、と察し、美桜は口を開く。



「イベントのアイデアなら、昨日の続きを考えてきました」


 司の部屋で練ったアイデアをもっと広げられないかと、自分なりにまとめて来ていた。



「ラフな画像ですが…」
 
 と、タブレットを開いた時、司が画面の上に手を置いた。

「違うよ」

 司の冷静な声が響く。

 伸びて来た手に驚いて顔を上げると、そこには司の凛とした眼差しがあった。


 一瞬前とは異なった、あまりにも真剣な空気に言葉が出てこない。



「俺と住むかどうか、考えてきた?」

「え……」


 あれは本気の言葉だったのかと言葉を飲む。




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