小悪魔カレシの甘い罰
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「考えてきた?」
司の書斎と同じように、薄く暗い彼のオフィスに入ると、いきなりそう切り出された。
司はパソコンの画面を見つめたままで、美桜に視線を寄越さない。
口元にはやはり棒付きの飴。
どこかうつろな目は、まだエンジンが掛かりきらない様子だった。
午前中だからか、と察し、美桜は口を開く。
「イベントのアイデアなら、昨日の続きを考えてきました」
司の部屋で練ったアイデアをもっと広げられないかと、自分なりにまとめて来ていた。
「ラフな画像ですが…」
と、タブレットを開いた時、司が画面の上に手を置いた。
「違うよ」
司の冷静な声が響く。
伸びて来た手に驚いて顔を上げると、そこには司の凛とした眼差しがあった。
一瞬前とは異なった、あまりにも真剣な空気に言葉が出てこない。
「俺と住むかどうか、考えてきた?」
「え……」
あれは本気の言葉だったのかと言葉を飲む。