小悪魔カレシの甘い罰



「冗談じゃなかったんですか」

 美桜が目を丸くしていると、


「当たり前だ」

 司は眉を寄せた。

「冗談でこんなこと言うほど暇じゃない」


 意地悪なところがある彼だけに、信じていなかったが、どうやらこれは本気の提案だったらしい。



 とはいえ、その答えを用意していなかった美桜は口ごもる。


「え…でも、そんなの、おかしいですよ」

「おかしい?」

「…いくらプロジェクトをスムーズに進めるためとはいえ、会社に泊まり込みで一緒に作業するならまだしも、上司と部下が一緒に暮らす、なんて…」

 まして男女が…、と語尾が小さくなる。


 すると司はキャンディーをかりっと軽く噛んだ。



「俺は、無駄なことはしたくない」

 司の口調は強いものだった。


「せっかく降りて来たアイデアを、すぐに書き起こしたいのに、相談役が離れていたら、そのたびに手が止まる」


 そんな無駄は一切省きたい、と司は付け足す。




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