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息を切らして入った瞬間、何故か姉貴が仁王立ちで玄関に居た。


「アンタ、風呂入りなよ」

「あ?」

「毎日ほっつき歩いて何してんのよ」

「うっせーな、どけよ」

「だから風呂入れ。タバコ臭いし、酒臭い。そんなので会うつもり?」


はぁ。とため息を吐き捨てる俺に、「あたしバイト行ってくるから」なんてどうでもいい事を俺に告げる。


「あぁ、そうかよ」


素っ気なく返し俺は風呂場に向かう。

とりあえず髪と身体を慌てて洗い、俺は急いで部屋に向かった。


「…芹奈先輩?」


扉を開けた瞬間、そこに居たのはやっぱり芹奈先輩だった。

ベッドに背をつけ、うずくまる様に膝を抱え、頭を沈める先輩の顔がゆっくりと上がる。


「つか、どした?こんな遅くに来たら危ねーだろ」


デジタル時計はもうすぐで22時になろうとしてる。

芹奈先輩は俺に視線を向けたと思うと、またすぐに逸らした。


姉貴が置いたであろう飲み物がテーブルに置かれ。

冷房で既に心地よく冷えた部屋が、時間を物語、俺には快適だった。


濡れた髪を首に掛けていたタオルで拭きながら芹奈先輩の斜め前へと腰を下ろす。

未だ、頑なに口を閉じた芹奈先輩は、次第に瞳を潤ませた。

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