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「全然来てなくてごめんね」

「ワンっ、」

「あーあ…なんかつまんねーわ。お前いつから芹奈先輩になった?それまで俺だったじゃねーかよ。ちょっと来ねー間になんなの、お前」


ふてくされる様に口を開く俺に芹奈先輩はクスクス笑う。


「透哉君、怒ってるよ?」

「怒ってねーよ」


いや怒ってるというより嫉妬か。

犬に嫉妬するなんて、どんだけアホくさいんだよ。


「あ、雨…」


しばらくすると芹奈先輩がそう言って空を見上げた。

同じように見上げるとパラパラと降り出した雨が地面を叩きつける。


黒い雲に覆われた空。その所為で空気が重い。


「ちょっと雨強くなる前に、おっさんの所で傘借りて来るわ」

「うん」


肩に掛けていた鞄をパイプ椅子の上に置き、俺は駆け足でおっさんの所に向かった。

多少濡れた制服の雨を手で払い、店のドアを開ける。


「よぉ、透哉」


いち早く反応したのは、おっさんじゃなくオサムだった。

オサムの前にはテツがラーメンを啜っている。


「お前、学校来ずにココかよ」

「はぁ?お前に言われたくねーわ。散々休みやがって」

「休んだんじゃなくて休まされたんだっつーの」

「で、お前も食っていくだろ」

「いや。それどころじゃねーし。…おっさん傘貸して」

「あれ?食わねーの?」

「あぁ」

「そこに傘あんだろ。持っていっていいから」


雲行きで怪しかった所為か、ほぼ席が埋まっている。

おっさんは忙しそうに指で合図をし視線を送った。



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