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「LINEしようと思ったけど透哉、返事返してくれそうもないから…」
「で、なに?」
「あたしまだ透哉の事――…」
「ごめん。もう無理って言わなかったっけ」
「透哉、前一緒に居た人と付き合ってる?あれからまた見掛けたから…」
「付き合ってる」
「……」
「……」
「…別れて」
「は?」
「別れてほしい」
「お、お前っ、」
身体に衝撃が走った。
俺の胸に飛び込んできた小百合が俺を抱きしめる。
「お願い。今でも後悔してる。何で別れたんだろって、何で他の人にいったんだろって。凄く凄く後悔してる。ねぇ透哉?やり直したい」
「悪い。俺から離れて」
「無理」
傘を差している反対の手で小百合の腕を掴む。
だけどそれを許そうとはしない小百合は更にきつく俺を抱きしめた。
「マジ離れろって」
「透哉に大事にされたい」
「もう無理っつってんだろ。今からそんな事思ってどーすんだよ、少なからず俺はあの時、お前の事、大事にしてたと思う。でも今はお前じゃない」
「……」
「悪いけど、もう終わりにしろよ。俺はこれから先、お前の事を好きになる事はねぇから」
「……」
グッと力ずくで離した小百合の身体。
俯く小百合は唇を噛みしめ、目を潤ませた。
「ごめん…」
小さく呟き、その場から離れる。
早く急がねぇと。と思いながら足を進ませ角を曲がった瞬間、屋根の下の壁に背をつけていた芹奈先輩が俯いたまま鞄をギュッと抱え込んでいた。