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「…芹奈ちゃんっ、」
萌ちゃんの勢いよく弾けた声に隣にいる芹奈の苦笑いの声。
「萌、おはよ」
「おはよう。透哉君もおはよう」
「…はよ」
「芹奈ちゃん、あたし昨日大変だったんだよ!」
頬を膨らませて眉を寄せる萌ちゃんが何だか自棄に可愛くて、晴馬先輩が好きになる気持ちも分かると思ってしまった。
「なんで?」
「晴馬君ね、雨降ってるから帰れないって言うの。タクシーで帰ればいいでしょ?なのに金ないって言うし、」
「へー…そうなんだ」
「いっぱい女の子いるくせに、あたしの家に泊まるとか言って大変だったの!!」
「うーん…それで晴馬は泊ったの?」
「え、それがあたし寝ちゃって…朝になると晴馬君居なかった」
「あはは。萌らしいね」
やっぱり萌ちゃんは面白かった。
そんな話で俺も笑っていると「ねぇ透哉くん?」なんてヒョッコリ萌ちゃんの可愛らしい顔が飛び込む。
「え?」
「なんで晴馬君って、女ったらしなの?」
「え、えー…それ俺に聞く?」
「だって仲良しでしょ?」
「いや、別に仲良しでもねーけど」
「え、そうなの?でも話すよね?遊ぶよね?」
「ま、まぁ…」
「なのに知らないの?」
「あー…女ったらしっつーか優しいの方じゃね?」
「優しい?あれが?」
「まぁ、俺より断然優しいと思うけど。女には…」
「それが女ったらしって言うんだよ?」
納得出来ないのか萌ちゃんは頬を膨らませ、次第に眉まで寄せて顔を顰める。
そんな表情に俺は思わず笑みを漏らした。