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「…先輩、」
放課後、昇降口で待ち伏せしてた俺は晴馬先輩が姿を現したと同時に声を掛ける。
「え、なに?俺待ち?」
「そう」
「珍しーな」
フッと笑う先輩に俺はため息を吐き捨てた。
別にどうでもいいけど、俺関係ねぇし。
なんて思いながらも先輩を待つ俺は、少なからず萌ちゃんにも芹奈の事で感謝してるわけでもあるわけで。
「相変わらず両手に華っすか」
「は?」
「昼休み」
「あー…」
「つか場所考えろよ。萌ちゃんすげー見てたけど。余計、嫌われるんじゃね?」
「萌ねぇ…」
シックリこない言い方で晴馬先輩は一息吐く。
「なに?その言い方」
「いや。別に萌は俺の事一ミリたりとも好きじゃねぇから別によくね?」
「さぁ俺には分かんねえけど」
「アイツ馬鹿だからなー…」
「は?」
「俺の事なんとも思ってねぇんだから、いちいち気にしてねぇだろ」
「いや、だから俺、朝聞かれたっつったよな」
「あー…女ったらしってやつ?」
「そう」
「別にキスもセックスもしてねぇんだしよ、なんでそんな事、気にしてんだっつーの。あ、そか俺が萌に好きって連呼してっからか」
クスクス笑う先輩は正門を出てすぐの自動販売機で足を止める。
「ま、そーなんじゃねーの。あ、俺もそれがいい」
「は?なんでお前のも買わなくちゃいけねーんだよ」
「情報教えてやったから」
「そんな情報いらねーわ」
ぶつぶつ文句を言いながらも先輩はコーヒーを買ってくれる。