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「…おい、萌」
「ギャッ、」
ビックリしながら萌ちゃんが焦ったように振り返る。
そして振り返った瞬間、「え、透哉君…」なんて俺の名前を出し目を泳がせた。
「あ、俺居ちゃ迷惑?」
「あ、いや…そうじゃないんだけど――…」
「おー、芹奈じゃん。アイツ何してんの?告られてんの?」
萌ちゃんの声を遮った晴馬先輩の声で、「え?」小さく呟いた。
焦る萌ちゃんの隣で晴馬先輩は壁のその向こうを覗き込んでる。
「つか萌。お前、覗き見すんなよ」
「や、ちがっ…芹奈ちゃん見つけたら追っかけようとしたら連れてかれて…で、気になって見てた」
「それ覗き見じゃねーのかよ。おい、透哉。芹奈抱き締められてんぞ」
「えっ、うそ。芹奈ちゃん…」
俺が″はぁ?″と言う前に何故か萌ちゃんが焦って俺の視線から外し、壁の奥を見る。
「ちょ、先輩どいて」
覗き込む晴馬先輩の肩に手をやってグッと力を入れると先輩がクスクス笑い出した。
「ビビった?嘘だしよ」
抱きつかれてんのは嘘だとしても芹奈の前には男が居る。
アイツ、まじ何やってんの?
つか誰だよ、あの男。