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「萌ちゃん、アイツだれ?」

「あ、えっと…最近困ってたの芹奈ちゃん…」

「は?何に?」

「前の――…」

「あー…前の男?だったらロクでもねぇな。やり直そうとか言われてんじゃねーのかよ――…って、おい透哉っ、」


晴馬先輩がそんな事言うから俺の足は芹奈に向かっていた。

そんな事なんもしらねぇし。

前の男かなんだか知んねぇけど、イラつく。

これじゃあ晴馬先輩の事なんも言えねぇな。


嫉妬してんのは俺の方じゃねぇかよ。

芹奈の前に男が居るだけで、イラつく。



「…芹奈、何してんの?」

「えっ、」


芹奈の背後から抱きしめ、肩の顎を置く。

案の定、焦った芹奈は「…透哉?」なんて小さく声を出した。


「は?だれ、そいつ」


目の前の男が開いた言葉に、お前こそ誰だよ。と言いたくなる。


「だから、さっき言ってた彼氏」

「そう、芹奈の彼氏だけど、なにか?」


芹奈の後に続けて俺は意地悪そうに口角を上げた。


「は?冗談だろ?」

「冗談じゃないよ」

「つか誰でも良かったら俺でもよくね?やっぱ芹奈じゃなきゃ嫌だし」


思わず舌打ちが出た。

こいつふざけてんのか?

誰でもって、なんだよ!
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