Next to…
下だるい身体を起して、そのまま胡坐を掻く。
起き上がった俺に対して、なぜが理実は頬を緩ませた。
「えっ、透哉、会ってくれんの?」
目を輝かせながらパチパチと瞳を動かす理実に、「頼むから帰って」呟いた瞬間、またたくも理実の眉間に皺が寄った。
「は?なに?わざわざ来てんのに」
「別に俺頼んでねーし」
「そんな事言わないで、出会いあるかもじゃん」
「ねーよ!むしろそんな出会いいらねーわ」
「じゃ、どんなのが理想?あ、もしかして今、好きな人いんの?」
「……」
「だれ?誰なの?」
「……」
「また顔はいいけど。…って言われないようにしなきゃね」
ゲラゲラ2人の笑い声が反響し始める。
思わず俺の舌打ちが大きかった所為か、2人の笑い声がピタリと止まった。
「帰れ」
切り捨てた俺の一言で、理実の顔が真顔になる。
「しゃーねーから理実、帰るぞ。今日こいつおかしんだわ。いつもと違うから」
「なんで?なんかあった?」
「さぁーねぇー…恋でもしてんじゃねーの?」
「恋!?マジ!?」
「だっていつもなら嫌でも来るからな」
「だよねーって事で、透哉バイバーイ!このキャンセル料はケーキで!」
「は?意味分かんね」
バタンと閉まった扉と同時に俺は小さく言葉を吐き捨てる。
そのまま再びベッドに倒れ込んだ。