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‘*。step2
結局あれからひとつもプリントにも手をつけずに家を出てしまった。
まぁ、やる気なんてないのは確かだけど、夏休みの事を思うと、嫌でもプリントを終わらさなきゃいけねーなんて思ってしまう。
「おー、透哉、おはよ」
正門でばったり出くわした修二は俺を見た瞬間、何故か笑みを見せた。
「つか何、笑ってんだよ」
「いや、オサムにお前のネタ聞かされてたから」
「はぁ?またかよ。アイツは俺の話しかねーのかよ」
「まー、あと女とな。で、補習の宿題は終わったのかよ」
「まだ」
「自棄に手がかかってんな」
「んー…お前、やってくれんの?」
「は?やらねーし」
「マジ多すぎんだよなー…」
気怠そうに呟いた瞬間、前方に芹奈先輩を目にした途端、何故か視線がそこから動こうとはしなかった。
今日も、あの場所行ったら居んのかな。
だからって別に話す事なんてなんもねーけど。
「あー…あの人、別れたんだってな」
「あの人?」
「芹奈先輩。どうやら年上硬派イケメン彼氏っつー人と」
俺からの視線で気づいたのかは知んねーけど、修二は視線を送りながら淡々と口を開く。
「へー…良く知ってんな」
「だってすげぇ噂だろ。結構あの人の話って筒抜けじゃね?次、晴馬先輩じゃないかって噂も飛んでるしよ」
「へー…」
晴馬先輩ね。
噂って、なんだかんだ言ってマジだるいわ。
「ま、あれだな。お前も男前だけど冷たい男で有名だからな」
ケラケラ笑う修二にため息が漏れる。