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大通りから少し外れて角を曲がった時、見覚えのある制服で視線が必然的に動いた。


冬月芹奈(せりな)。


校内で一番って言われるほどの美人で大人っぽい3年の先輩で有名。

俗にいうモデル並みの人。あの人目当てに入学したって奴も結構いると言う、噂。


そんな毎日っていいほど噂が飛び交う人が目の前の男と言い合いしてる。

相手はスーツを着こなした大人。

ま、その噂っつーのが。物凄くガードが固くて紳士な大人しか付き合わねーってやつ。


つか、どうでもいいけど。

興味ねーし。なんて思ってたけど、俺の横を通り過ぎて行ったその顔に思わず視線が向いた。



目に光る水滴が頬を滑り落ちる瞬間を見た所為で、何故か俺は振り返っていた。



「つか、泣けんだ、あの人」



小さく呟いた俺は何故が鼻で笑う。

気が強くて泣けねーって聞いてたから、逆に笑みが落ちた。


視線をもう一度、前に向け今度はその男の前を通り過ぎる。

未だ芹奈先輩の方を見つめてるこの男はきちんとスーツを着こなし誰がどうみても男前なんだろう。


って、マジどーでもいいわ。


そんな事を思いながら気怠いまま正門に着くと、俺とは反対に帰宅していく奴らが目に入る。

その数人の奴らの視線が俺に向かっているのも、何となくわかった。


「マジだるっ、」


小さく呟き小さく舌打ちするとともに出て来るのはため息。



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