Next to…
暫く経って聞こえてきたのは足音。
「先輩どーも。マジ優しいっすね」
ペンを止め、見上げた瞬間、俺の目は見開く。
え、なんで?
晴馬先輩だと思い込んでた俺の目の前には何故か、芹奈先輩がいる。
「はい、これ晴馬に頼まれたの」
「ありがとう。で、あの人は?」
差し出されたビニール袋を受け取り、俺はその中身から缶コーヒーを取り出し乾いた喉を潤す。
「たまたま出くわしたら面倒くさいから代わりに行ってって」
「は?何あの人。自由人すぎだろ。ってかそう言ってる俺も飯頼んだんだけど」
密かに聞こえる芹奈先輩の笑い声が耳を掠める。
ビニール袋にはちゃんと、焼きそばパンが入ってて、それを俺はそれを頬張った。
「結局帰ってやらなかったんだ。プリント」
「まー…」
「入って来た時、まじビビったよ。裸だし」
「だってくそ暑いし」
「図書室でやればいいのに。涼しいから」
「なんかいっぱいいそうで集中できねーじゃん」
「って言うかさぁー…なんかあたし騙された気分なんだよね」
「え、誰に?」
「透哉君に」
「俺!?」
騙されたという言葉に驚いたと言うよりも案外、俺の名前を呼んでくれた事の方が驚いたのかも知んねぇ。
後輩扱いされるよりも名前の方が断然いいに決まってる。