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「あたし恥ずかしいじゃんか。透哉君のプリントなんか張り切ってやったりして」

「え、何で?」

「晴馬から聞いたけど、物凄い高学歴らしいじゃん」

「そうでもねぇけど」

「だからめっちゃ晴馬から馬鹿にされたわ。アイツに教えるより教えてもらえって言われたし。なんか逆に恥ずかしい事した。あたしが書いたやつ本当にあってた?」

「あってたよ」

「なにしろ学年トップって聞いたから頭の中真っ白になって、何してんだろあたし。とか思って…」


本当に困った表情で芹奈先輩は笑い始めた。


「でも一枚やらなくてすんだし助かったけど」

「えっ!?消してないの?」

「あぁ、そのまま」

「字でバレんじゃん」

「バレねーだろ。気合入れて書いたっつったら」

「何それ。気合って、ウケる」

「全然ウケねーわ」


声に出して笑う先輩につられて笑う。

そして芹奈先輩は立ち上がって足を進め、手すりにしがみついた。


「屋上って全然来ないけどここからの景色ってほんと綺麗だよね」


空を仰ぐように見つめる芹奈先輩の声がまた沈んだように思えた。

ほんとこの人、気分の浮き沈み激しいな。


やっぱ全然クールじゃねーじゃん。


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