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「おー、成瀬こっち」
職委員室の扉を開けた瞬間、待ってました。と言わんばかりに担任が手招きをし、その方向に気怠いまま足を進めた。
「お前、停学中なんも悪い事やってねーだろな」
「やってねーっすよ」
「明日から遅刻せずに来いよ」
「あいよ」
「で、この期間中にテストもあったし授業も進んでるから宿題な」
「は?」
「は?じゃねーから。こんなんお前なら余裕だろ」
ニコニコ笑いながら担任が手渡してきたのは宿題っつープリントなわけで。
この量をみるだけでも嫌がらせにしか思えなかった。
「量、多すぎじゃね?」
「休んでたからな」
「休んだんじゃなくて、休まされたんっす」
「お前が校則違反すっからだろ」
「はいはい」
「とりあえず夏休み入る前までに終わらせてその後、テストすっから」
「くそダルイわ」
「成瀬、分かってると思うけど夏休みまで残り1週間ほどしかないからな」
「へーい」
面倒くせーから適当にあしらって職委員室を出る。
家でする気も起らねーから、とりあえず教室に入ってそのプリントを机の中に突っ込んだ。
「あれ?透哉じゃん。久々ー」
不意に聞こえた声に視線を向けると、頬を緩めたイチカが窓から顔を出し、さらに口元を緩ませた。
「おぅ」
「あんた災難だったね」
「まぁな」
「ねぇ、丁度いいや。久々に遊びに行かない?」
「いや、気分乗らねーからやめとくわ」
「えー、じゃ透哉の気分っていつあがんの?」
「分かんね」
「じゃまた気が向いたら電話してよ。待ってるから」
ヒラヒラと手を振ってくるイチカに一息吐き、
「面倒くせ」
小さく言葉を漏らした。